【感想・考察もどき】『ジョーカー』への個人的見解と、危険視される作品の特徴

■個人的見解

かわいいは正義」という文言が嫌いだ。

というか、この手のオタクスラングは大抵妙にモヤっとする。ある特定のキャラクターを肯定する上で、その周囲にある「世界」や「思想」を矮小化するタイプの物言い  「世の中そんな単純じゃねえ!」という怒りをひた隠しにしながら生きてきた。けれど、そんな日々とはもうおさらばだ。

悪いのは自分の狭量さだと言い聞かせて来たが、僕は今、「かわいいは正義」に対する最上級の反証を手に入れてしまった。

 ジョーカーである。

ホアキン・フェニックスの演じるジョーカーは、なんだかとてもかわいい。 

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【感想・考察もどき】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』と情報社会とMGS2

 

『スパイダーバース』の興奮が冷め止まぬ3ヶ月前、小島監督のこのツイートを見たときは正直「どの辺がTPP+DSなんだろう……」と思ってしまったけど、こと「FFH」に至ってはもう完膚なきまでにメタルギアっぽい話をしていて、MCUのフェーズ4が予想の遥か上をいきそうな悪寒(ムズムズ)がする。ネタバレ注意。

 

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スカルフェイスに幸せになってほしい第六回星新一賞受賞報告

・入選した
 冗談みたいなほんとの話。デル・トロが「KAIJUに幸せになってほしい」という気持ちで『シェイプ・オブ・ウォーター』を撮ったんなら、こっちだって同じことをしてやる。誰に幸せになってほしいかって? そんなの『MGSV』のスカルフェイス以外いねえだろ!! うおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!

 

honto.jp

 

 ……と、いう悪ノリから生まれたお話で「第六回星新一賞」学生部門グランプリに入選した。名前は『創訳する少女』。星新一賞はありがたいことに二年前『Frameout』という処女作(本当に、最後まで書いた小説はあれが初めてだった)で優秀賞をいただいていたのですが、二年ぶりに戻ってきてしまった。ちなみに、一年前は落選。そういうものだ。「学生部門」と銘打ったものに応募できるのはきっと今回で最後なので、その間で優秀賞→グランプリと成長? したのは精神衛生上とても良いこと。

 この二年で何か学んだことがあるかと言えば、悪意を隠すことを学んだ。というか、これまでは露悪的な描写への憧れが強過ぎた。本作は「人は遺伝子ではなく国語に住んでいる」みたいな内容の話なのですが、二年前だったら同じテーマでも「声帯虫の英語株をあえて渋谷でばら撒くTPP二次創作」みたいになってそう。そういうメンタルだった。

「憧れ」自体は今も無くなっていないけれど、曝さないほうがいいものも多分あるのだろう。こういう性格を隠さないから炎上するわけで……ごめんなさい。

 アメとムチの使い分け、というよりは「アメの中に毒物を仕込む喜び」と言ったほうが適切かな。『創訳する少女』自体はストレートにエモい話でも、やっぱり裏側にある感情は「スカルフェイス」、優しくない。ようするに、「どうだ、醜いか?」を「どうだ、かわいいか?」と書き換えただけ。それだけで、面白いくらい違って見えるのが小説だった。

 悪に堕ちる手段はまだたくさんあると思うので、これからどんどん開拓していく。次はラノベとゲームをやります。ありがとうございました。

 

・余談
 登場人物の名前が「キャシー」と「リン」だったり、受賞コメントに『YO』の歌詞を仕込んだりと某エロいパズルゲームのネタ(a.k.a. もう1つの悪意)を入れてますが、そのくせ『フルボディ』はまだ買えていない。↓を実家で遊ぶ勇気をくれ。

 

PS4のスパイダーマンをクリアした

 ゲーム史上最も快適な移動手段でニューヨークを回れる。写真も撮り放題。

 そんなシステムが成立しちゃった時点で、このゲームには単なる「キャラゲー」を超えた価値があるんじゃないかと思ってしまう(もちろん、キャラゲーとしても破格の出来ですが)。

 常人には不可能なレベルでハイスピード観光を敢行できる、という魅力は想像以上に強かった。「MGS2のラスボス戦会場にいける」って話を聞いた瞬間はやっぱりすごくときめいたし……「ゲームの聖地はゲームの中で巡礼すればいい」という時代性に激しく感動している。もちろん行きましたとも!

 

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 デモが起きていた。

 

MGS2』ネタといえばオープニングの「雨降る夜にステルス迷彩で橋から飛び降りるアレ」とかも擬似的に再現できそうだったので今度試したい。ちなみに、フォトモードのフィルターでSFモードを選択すると、色味まで当時のメタルギアっぽくできる。いいセンスだ……。

 

 とにかく、「リアルとフィクションのいいとこ取り」みたいな究極の箱庭。個人的には完全にフィクショナルな空間だった『アーカム・ナイト』のゴッサムシティよりも感動が大きかった。これだけ広いとイースターエッグの報告もひっきりなしにあるんだけど、そういう情報を血眼になって漁るのが今はすごく楽しいです。

 で、イースターエッグの中で個人的に一番印象的だったのはやっぱりこれ。ビルの窓ガラスに反射するツインタワー。

 

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 マップ上にはない(あるはずがない)WTCツインタワーがすぐ近くの窓ガラスに映っている。ちょっと不気味な演出だけれど、「本物」の「幻」を映し出す意地を感じた。9.11の直前に発売されただけあって、一生忘れないゲーム演出の一つになりそう。

アベンジャーズタワー」や「ワカンダ大使館」がしれっと建っていることからも分かる通り、この作品はただリアルなだけの街を作りたいわけではないのだろう。ストーリーの終盤ではこのニューヨークがありえないレベルで崩壊していくんだけど、その時に覚える危機感も独特だった。

「移動するだけで楽しい」という評判は単にスパイダーマンの動きが面白いというだけじゃない。何が言いたいかというと、写真好きは買え。

 

・おまけ、という名の愚痴

 相対的にバットマンの『アーカム』シリーズの評価が下がってきているのはちょっと残念。「インソムニアックがアーカムシリーズでやっていたことを全部スパイディに盛り込んだ説」はクリアすると一層強く感じるのですが、あっちのシリーズにも良いところはいっぱいあった。

 たとえばホラーゲームすれすれの「精神世界演出」はバットマンの方が圧倒的に面白かったです。『P.T.』よりずっと前からこういうシーンを取り入れていただけあって、『アーカム・ナイト』終盤の迫力は改めてすごいなと思った。クリア当日の熱量でさえ、ストーリーはバットマン派だと冷静に感じている自分がいる。

 

 あとさ、本作の顔であるスパイダーマンのアドバンススーツ、正直ダサくね? あのスポーツウェアみたいな白ラインとか、ナイキのロゴが入ってそうな靴が自分の好みと逆行していて微妙だった。

 ずっとスタークさんが作ったスーツを使い続けていたんだけど、頭だけ外した状態のシーンは強制的に元のスーツに戻される。一部の重要シーンで「なんだかなあ」という気持ちになるので、慣れといた方がいいです。

 些細なわがままだ。逆にいうと、このくらいしか不満がない。

 

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 個人的に「スパイダーマン」はすごく因縁のあるキャラクターだった……いや、あまりにも特殊な事情なのでネットに晒す気は無かったのだけど、このゲームをきっかけにその辺の「経験談」も文章化したくなってきた。困る。

 つい3年くらい前までスパイダーマンが大っ嫌いだった。大学以前の僕を知っている人なら、今このゲームに熱中していることにかなり驚いたと思う。その辺も踏まえて、学生時代最後の夏に遊べて良かったタイプのゲームでした。今度話すね。

PS4のスパイダーマンを三時間くらい遊んだ

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「実写だコレ」

 これは『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』のアイアンスパイダースキンを使ってニューヨークを飛び回った感想。元の映画がCG使いまくり(スパイダーマンは全部CGだろ)だったこともあり、「実質的に実写」である。最近のMCUシリーズのCGになんか違和感を感じてしまう身からすると、むしろゲームの方が「リアル」なんじゃないかという意味のわからない錯覚に陥ることもあった。危険な兆候だ。

 

 それでなくともこのゲームはすごい。広大なニューヨークの端から端まで数分で渡り切れてしまう、贅沢なスピード感。そびえ立つガラス張りのビルをするすると登り、飛んで、また別のビルのガラスを這う。どこもかしこもガラスまみれ。それらを片っ端から登れる、というのは一体何を意味するのか。

 それは、ガラスの内側をちゃんと作らなきゃいけないということだ。

 プレイヤーの大半はガラスにうっすらと反射したスパイディを見て悦に入るだけだろうに、作り手はニューヨーク全体の「ガラスの中」をいちいち作ってしまったらしい。どうかしてるぜ。インソムニアックから死者は出ていませんよね?

 たとえば『MGS2』の冒頭シーンみたいな、スネークの体にぶつかる雨粒のみで「雨」を表現する、的な演出面の工夫ももはや必要ないらしい。スパイダーマンはそうした「雨粒」を全部描いてしまうという域に達している。危険危険。HQHQ。

 

 高度なグラフィックで表現されたニューヨークを、スパイダーマンという非現実的なヒーローになって飛び回る快感。言うまでもなく、これは既に現実を超えている。アブナイ。そういえばこのゲーム、落下ダメージがないのが移動パートの楽しさを引き上げている気がする。無駄なストレスがない。

 でもこれって大丈夫なのか。『ブレスオブザワイルド』のリンクはその辺で勘違いさせないために落下ダメージ入れた、って話をどこかで見たけど。うっかり死者とか出ちゃうんじゃないか……でももうしょうがないか、面白いもんな!

スパイダーマン』のせいで現実がより一層億劫になる。いや、現実とゲームの「区別」を自分はいつまで維持し続けられるのだろうか。マジで危険だ。俺はいつか、うっかり現実の屋上から他のビルへ飛び移ろうとして落下死する気がする。そうなったらもう、「幸せそうだなアイツ」と笑ってください。

 

・余談

 上記のような技術的な感動はいっぱいある(それだけで触れる価値はあると思う)けど、ゲーム内容的にはまだ予想を超えるようなシーンがあまりないです。

 操作系はみなさんの予想通りアーカムシリーズに似てますが、個人的な印象はアーカムメタルギアライジング、って感じです。ニンジャランがあります。アーカムにめっちゃ似てるけど、アーカムと同じ感じで四角ボタンを連打してるとボコボコにされると思います。単純に難易度が高いです。バットマンより複雑です。僕はアクションが下手くそなので、最初のボスまでに10回はコンティニューさせられました。自分の中の天才ゲーマーMが泣いている。

 あと、英語音声を選ぶと字幕も全部英語になるという仕様なので、実質「吹き替えしかない」と思ってください。本作に関しては別に文句とかないんだけど、『アーカム・ナイト』の吹き替えが嫌で北米版を買いに走った思い出が蘇った。

ガーディアンズ・オブ・東都

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 唐突に『仮面ラジレンジャー』のことを思い出してブログを漁っていた。ビルドの出演者がゲストの回、主役の犬飼貴丈氏が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(以下GotG)』のヨンドゥのシャツを着ている。

 

 そこまではいい。

 

「1人のヒーローとして、ジェームズ・ガン騒動に一言物申したいのかな」とか、そういうことが言いたいわけではない。何が問題かと言うと、彼の背後にいる金尾哲夫氏(エボルト(ラスボス)役)だ。彼は『GotG』の二作目で「エゴ」というキャラクターの吹き替えを担当している。

 

 ヨンドゥとエゴ。

 

 この二人がどういう関係にあるか、映画を見た方ならお分かりだろう。つまり、このジュノンボーイは完全にエボルトに喧嘩を売っているのである。素晴らしい。

 犬飼氏のいろんなセンスの良さはビルド本編からもにじみ出ていたので、今後全力で注目していきたい。そう思っただけの日記です。

平成の呪い

 巨大なG  少なくとも、ここ数年で見かけた中では最も大きなあずき色のGが、自室の本棚の下に潜り込んだ。どうすることもできなかった。

 

 午前中は『アントマン&ワスプ』を観てご機嫌だったから、自分は虫にもう少し耐性あるものだと思っていた。が、Gの潜む部屋で電気を消して眠る”ヴィジョン”を思い浮かべるとそれだけで額のマインドストーンが砕け散りそうになる。その場の思いつきで部屋全体にブラックキャップを設置し、リビングに退避することにした。

 

 廊下を抜けてリビングにたどり着いた瞬間、僅かな段差に左足の小指をぶつける。普通に痛い。いや、普通以上に痛い。なんかいつもとは違う。よく分からない。しばし悶絶する。

 

 8月31日。一介の大学生からすれば、まだまだ夏は続く気でいる。しかし、不覚だった。リビングでは高校生の弟が徹夜で宿題をやっていたのだ。その辺に適当にマットを敷いて寝ようとしたが、奴は三十秒に一回うめき声をあげる。うるさい。

 寝落ち対策でテレビを点けてやがる。うるさい。

 全米オープンナダルが戦っている。寝かせろ。

 

 結局、本当に一瞬だけ意識を失うことに成功したが、二時間もしないうちに「レポートが提出できない」と叩き起こされる。

 筆者はGが無理だからこの部屋にいるのであって、お前の介護に来たわけではない。しかし、奴はうるさい。まさかお前、このために部屋にG放ったわけじゃないだろうな。午前中に『アントマン』を観たせいか、虫に謎の戦略性を見出してしまう。

 

 そして、なんやかんやで朝が来る。

 

 やけくそでコーヒーを飲んでいると、つま先に小さな違和感を覚える。視線を下ろすと、左足の小指の爪の上半分が、知らぬ間に消失している。繰り返す。小指の爪の長さが半分になっている。

 

 

 サノスか?

 

 

 マインドストーンは昨晩Gが砕いたはずだったが、気がつくと奴の手中にあったらしい。サノスはインフィニティガントレットの力を使い、愚かにも足の小指の爪の長さを半分にしやがった。何を危惧したらそうなるんだ。

 その指パッチンには何のタクティカルアドバンテージもないが、九月が始まる。Gはまだ発見できない。