Vな日常
朝。目を覚ました僕はまず、スマートホンで時間を確認する。”ギルドデザイン(アウターヘブンのやつ)”のがっしりした重みを感じながら、ロック画面の”TPP壁紙”の上半分を眺め、あなたが眠っていたのは5時間です、という宣告を受ける。眠い目をこすりながらメガネを――”HIDEO GEAR(通称”六万円メガネ”)(”色違いなので実は五万円メガネ”)(”レンズ込みだと七万円メガネ”)”を着用。視界が開ける。
スマホをポケットに突っ込むと、僕は部屋を出てリビングに向かう。短い廊下を渡って、ドアを開くと、あいにくの曇り空。回れ右をして台所に行き、戸棚からマグカップを取り出す。朝は一杯のコーヒーから始まるとかなんとか。
コーヒーを注ぐマグカップは何種類かあるけれど、最近よく使うのは”コナミスタイルでMGSHDエディションを買った時についてきた、MGS2とMGS3のマグカップ”と、日経スターニューワン賞に入選した際にもらった「ほしづる」のカップ。
前者はまんまMGS仕様だし、後者もなんだかんだで(最終審査員とかで)縁がある一品だ。非常にうがった視点で見てみると、ほしづるってジ・エンドを叩き起こすあいつに似ている。ごめんやっぱ似てない。
のんびりコーヒーを飲みながら、スマホでMGSV2周年に関するツイートを漁る。日本の公式はまだ沈黙中だけど、海外コナミはお祝いツイートしてますね。しかしことは政治が絡む。届いたリプライを読むと、海外だと「物語が期待外れだがゲームは良かった」、みたいな評価で定着しているらしい。ゲームごとぶっ叩かれてる日本よりはマシかな。
なんにせよ、「V」を取り巻く状況は世知辛い。現実の世界情勢そっちのけで、僕はMGSVの未来を憂う。
なんやかんやで、爆睡中の妹を叩き起こさなければならなくなった。声をかけても起きないし、揺すっても起きない。困った僕は、一度部屋に戻って秘密兵器を取り出す。二年前にゲーセンで取った”「!」マークのアレ”。電源を入れると、センサーに反応して「!」の音が鳴ったり兵士が喋ったりするアレ。
久々にアレを手にとって、妹の耳元でスイッチを入れてみる。
「!」「敵だァ!」「まずいっ」「CPCPCP!!」
妹、一瞬目を開ける。だがすぐに閉じた。Vが目覚めない。
せっかくの秘密兵器が通用せず、ふてくされて自室に戻る。十分後に慌てふためく音が聞こえた。
今日は家でのんびりする予定なので、部屋着に袖を通す。タイ人が好みそうな真っ黄色のTシャツ。表にはピースマークが描かれ、背中にはでかでかとビッグボスの顔が。
そう、”UT”である。
僕は今、”UT”を着ているのである。
MGS3のやつも持っていたけど、穴が空いたので着るのやめました。もっと買っときゃ良かったな、と今更ながらに後悔している。
着替えと歯磨きが終わり、朝のルーチンが完遂された。暇なのでデスクに向かい、買い換えたばかりのMacBookを開いて、この文章を書き始めた。
机の上では、”geccoのビッグボススタチュー”がこちらを睨みつけている——。
BIGBOSS IS WATCHING ME.
あ、2周年おめでとうございます。